相続手続きでやるべきこととは?全体の流れや各手続きの期限を徹底解説!
相続手続きをスムーズに進めるためには、全体の流れや各手続きの期限について理解を深めておく必要があります。
しかし、普段馴染みのない手続きばかりで
「何をどの順番で進めていけばいいの?」
とお悩みを抱えていらっしゃる方も多いかと思います。
本記事では、相続手続きの全体の流れや各手続きの期限だけでなく、期限を過ぎてしまった場合のデメリットについても詳しく解説していきます。
ぜひ、最後までご覧ください!
1. 相続手続きにおける全体の流れ
相続手続きにおける全体の流れは、以下の通りです。
相続発生後~7日以内に必要な手続き
- 死亡診断書の取得
- 死亡届の提出
- 火葬許可証の取得
- ライフラインの名義変更・解約
- 金融機関への連絡
相続発生後~14日以内に必要な手続き
- 世帯主の変更届の提出
- 年金の受給停止の手続き
- 国民健康保険・後期高齢者医療保険の喪失届の提出
- 介護保険の喪失届の提出
相続発生後~3か月以内に必要な手続き
- 遺言書の確認
- 相続放棄・限定承認の申述
相続発生後~4か月以内に必要な手続き
- 所得税の準確定申告
相続発生後~10か月以内に必要な手続き
- 遺産分割協議の開始・書類の作成
- 預貯金・有価証券等の名義変更
- その他財産の名義変更
- 相続税の申告
相続発生後~1年以内に必要な手続き
- 遺留分侵害額請求
相続発生後〜2年以内に必要な手続き
- 高額医療費の申請
- 葬祭費・埋葬料の申請
相続発生後〜3年以内に必要な手続き
- 相続登記の申請
- 死亡保険金の請求
相続発生後〜5年以内に必要な手続き
- 遺族年金の請求
- 未支給年金の請求
- 相続回復請求
このように、相続手続きと一口にいっても様々な手続きがありますので、全体の流れを把握したうえで慎重に進めていきましょう。
2. 相続発生後~7日以内に必要な手続き
相続発生後~7日以内に必要な手続きは、以下の通りです。
- 死亡診断書の取得
- 死亡届の提出
- 火葬許可証の取得
- ライフラインの名義変更・解約
- 金融機関への連絡
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1. 死亡診断書の取得
死亡診断書(しぼうしんだんしょ)は、死亡日から7日以内に取得しておく必要があります。
死亡診断書とは、その名の通り、人間が亡くなったことを医学的に証明するための書類で、死亡を確認した医師に発行してもらいます。
この死亡診断書がないと、これ以降の相続手続きを進めることができないため、必ず取得しておきましょう。
2-2. 死亡届の提出
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出しなければいけません。
死亡届とは、被相続人が死亡した事実を知らせるためのものです。
この期限は「戸籍法86条」で規定されています。
第八十六条
死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。
7日目が市区町村役所の閉庁日である場合は、翌開庁日までが期限となります。
期限内に提出しない場合、5万円以下の過料が科せられる可能性があるため、なるべく早めに提出しておきましょう。
死亡届の提出先は、市区町村役所の戸籍課(住民課)になります。
2-3. 火葬許可証の取得
火葬許可申請書を死亡日から7日以内に提出し、火葬許可証を取得しておく必要があります。
期限は明確に定められていませんが、「墓地、埋葬等に関する法律第5条」で火葬には許可が必要であることが規定されています。
第五条
埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
火葬許可申請書の提出先は、市区町村役所の戸籍課(住民課)です。
忘れないように、死亡届と同時に提出しておきましょう。
2-4. ライフラインの名義変更・解約
被相続人名義で電気・ガス・水道・通信などを契約している場合、各事業者に連絡し、名義変更や解約手続きをしなければいけません。
被相続人の預貯金口座が凍結し、引き落としができない状態が続くと、ライフラインがストップする可能性があります。
日常生活に支障がある場合は、最優先で契約名義と引き落とし先を変更しておきましょう。
2-5. 金融機関への連絡
金融機関に口座名義人が亡くなったことを連絡する必要があります。
金融機関に連絡を入れた時点で、被相続人名義の口座は凍結され、相続人であっても無断で預貯金を引き出せなります。
相続人同士の争いを未然に防ぐためにも、早めに連絡しておくことが大切です。
3. 相続発生後~14日以内に必要な手続き
相続発生後~14日以内に必要な手続きは、以下の通りです。
- 世帯主の変更届の提出
- 年金の受給停止の手続き
- 国民健康保険・後期高齢者医療保険の喪失届の提出
- 介護保険の喪失届の提出
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1. 世帯主の変更届の提出
被相続人が世帯主であった場合は、変更届を亡くなった日から14日以内に提出しなければいけません。
この期限は「住民基本台帳法25条」で規定されています。
(世帯主変更届)
第二十五条
その属する世帯又はその世帯主に変更があつた者(政令で定める者を除く。)は、その変更があつた日から十四日以内に、その氏名、変更があつた事項及び変更があつた年月日を市町村長に届け出なければならない。
ただし、以下に当てはまる場合は、世帯主が明確になっているため提出する必要はありません。
- 残された世帯員が1人の場合
- 15歳未満の子どもとその親権者が1人の場合
世帯主変更届の提出先は、市区町村役所の戸籍課(住民課)です。
忘れないように、死亡届や火葬許可申請書と同時に提出しておきましょう。
[大阪市HP]世帯主変更届(世帯主が変わったときや、世帯を分けたとき)
3-2. 年金の受給停止の手続き
被相続人が国民年金を受けとっていた場合は死亡日から14日以内に、厚生年金を受けとっていた場合は死亡日から10日以内に、受給停止の手続きをしなければいけません。
この期限は「国民年金法施行規則第4条1項」と「厚生年金保険法第98条4項」で規定されています。
国民年金法施行規則(死亡の届出)
第四条
法第百五条第四項の規定による被保険者(第三号被保険者を除く。以下この項において同じ。)の死亡の届出は、当該事実があつた日から十四日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を市町村長に提出することによつて行わなければならない。
一 氏名、生年月日及び住所
二 死亡した年月日
三 被保険者の基礎年金番号
厚生年金保険法(届出等)
第九十八条
4 受給権者が死亡したときは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の規定による死亡の届出義務者は、十日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、厚生労働省令で定める受給権者の死亡について、同法の規定による死亡の届出をした場合(厚生労働省令で定める場合に限る。)は、この限りでない。
いずれも手続き先は、年金事務所または年金相談センターです。
忘れないように、早めに手続きを終えておきましょう。
3-3. 国民健康保険・後期高齢者医療保険の喪失届の提出
医療保険は、大きく次の3種類に分かれています。
- 国民健康保険:自営業者や無職の人、退職時に健康保険を任意継続しなかった人が加入
- 後期高齢者医療保険:75歳以上の人、または一定の障がいがあると認定された65歳以上の人が加入
- 健康保険:会社員や公務員、その人に扶養されている家族が加入
このうち、被相続人が国民健康保険または後期高齢者医療保険に加入していた場合は、死亡日から14日以内に資格喪失届を提出しなければいけません。
この期限は「国民健康保険法施行規則第12条」で規定されています。
(都道府県の区域内に住所を有しなくなつた者に係る資格喪失の届出)
第十二条
都道府県の区域内に住所を有しなくなつたため、被保険者の資格を喪失した者があるときは、その者の属していた世帯の世帯主は、十四日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を、当該世帯主が住所を有していた市町村に提出しなければならない。
一 被保険者資格を喪失した者の氏名、個人番号及び世帯主との続柄
二 資格喪失の年月日及びその理由
三 変更後の住所
四 被保険者記号・番号
手続き先は、市区町村役所の保険課(年金課)になります。
資格喪失届の提出時に、保険証を返却する必要があるため、忘れないように持参しましょう。
3-4. 介護保険の喪失届の提出
被相続人が40歳以上で要介護・要支援の認定を受けていた場合は、介護保険の資格喪失届の提出も必要になります。
この期限は「介護保険法施行規則第32条」に明確に定められています。
(資格喪失の届出)
第三十二条
被保険者証交付済被保険者は、被保険者の資格を喪失したときは、十四日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を、市町村に提出しなければならない。
一 氏名
二 資格喪失の年月日及びその理由
三 住所の変更により資格を喪失したときは、変更後の住所
四 個人番号
五 被保険者証の番号
手続き先は、市区町村役所の保険課(年金課)になります。
何度も足を運ばなくて済むように、国民健康保険・後期高齢者医療保険と同時に手続きしておきましょう。
4. 相続発生後~3ヶ月以内に必要な手続き
相続発生後~3ヶ月以内に必要な手続きは、以下の通りです。
- 遺言書の確認
- 相続放棄・限定承認の申述
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1. 遺言書の確認
相続手続きを進めるためには、遺言書の有無と内容を確認しておく必要があります。
遺言書があれば、その内容に沿って遺産を承継できるため、トラブルは起こりにくく、スムーズに手続きができます。
遺言書と合わせて、次の2つも調査しておきましょう。
- 相続人の調査 → 相続人の範囲の確定
- 相続財産の調査 → 相続財産の評価額の確定
4-2. 相続放棄・限定承認の申述
全ての相続財産の調査が終われば、単純承認・相続放棄・限定承認のいずれかを選択します。
- 単純承認:プラス財産とマイナス財産の全てを相続
- 相続放棄:プラス財産とマイナス財産の全てを放棄
- 限定承認:プラス財産の範囲でマイナス財産も相続
このうち、相続放棄または限定承認をする場合は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きしなければいけません。
この期限は民法915条1項に規定されています。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
期限が過ぎると、単純承認したとみなされ、マイナス財産も全て相続の対象となってしまいます。
余裕を持って、早めに相続財産の調査を開始しましょう。
相続放棄・限定承認をする場合の手続き先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になります。
5. 相続発生後~4ヶ月以内に必要な手続き
相続発生後~4ヶ月以内に必要な手続きは、所得税の準確定申告です。
詳しく見ていきましょう。
所得税の準確定申告
所得税の準確定申告が必要な場合、相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に手続きしなければいけません。
準確定申告とは、年度の途中で亡くなった被相続人に代わり、相続人がその年の確定申告を行うことです。
この期限は「所得税法第125条」で規定されています。
(年の中途で死亡した場合の確定申告)
第百二十五条
居住者が年の中途において死亡した場合において、その者のその年分の所得税について第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出しなければならない場合に該当するときは、その相続人は、第三項の規定による申告書を提出する場合を除き、政令で定めるところにより、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日(同日前に当該相続人が出国をする場合には、その出国の時。以下この条において同じ。)までに、税務署長に対し、当該所得税について第百二十条第一項各号に掲げる事項その他の事項を記載した申告書を提出しなければならない。
期限を過ぎると、加算税や延滞税を課される可能性があるため、なるべく早めに申告する必要があります。
自分で行うのが難しい場合は、税理士や税務署に相談しましょう。
手続き先は、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署になります。
6. 相続発生後~10ヶ月以内に必要な手続き
相続発生後~10ヶ月以内に必要な手続きは、以下の通りです。
- 遺産分割協議の開始・書類の作成
- 預貯金・有価証券等の名義変更
- その他財産の名義変更
- 相続税の申告
それぞれ詳しく見ていきましょう。
6-1. 遺産分割協議の開始・書類の作成
遺言書がない場合は、遺産分割協議を行い、誰がどれだけの遺産を相続するかを、相続人全員で話し合います。
協議が終了すれば、遺産分割協議書を作成し、話し合いの結果をまとめます。
協議や協議書の作成は、トラブルが発生するケースが多いため、行政書士や司法書士などの専門家を交えながら慎重に行っていくことが大切です。
6-2. 預貯金・有価証券等の名義変更
預貯金や有価証券等の名義変更も、できるだけ早く行わなければいけません。
被相続人の口座の名義変更・払戻しについては、金融機関によって手続き方法が異なるため、事前にホームページを確認しておきましょう。
一般的には、以下のような流れで手続きが進んでいきます。
- 金融機関に連絡
- 残高証明書の請求
- 届出用紙の記入と提出
- 相続人名義の口座を開設(証券会社の場合)
- 名義変更・払戻し
6-3. その他財産の名義変更
預貯金や不動産以外の財産がある場合は、それらも名義変更・解約しなければいけません。
例えば、次のような財産が該当します。
- 自動車
- バイク
- ゴルフ会員権
- 電話加入権
名義変更・解約しないまま、放置しないように注意しましょう。
6-4. 相続税の申告・納付
相続税の申告・納付が必要な場合は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に手続きしなければいけません。
この期限は「相続税法第27条」で規定されています。
(相続税の申告書)
第二十七条
相続又は遺贈により財産を取得した者及び当該被相続人に係る相続時精算課税適用者は、当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税の課税価格に係る第十五条から第十九条まで、第十九条の三から第二十条の二まで及び第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定による相続税額があるときは、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
期限を過ぎると、延滞税や加算税を課されるリスクが高まります。
また、虚偽の申告をすると、過少申告加算税を課される可能性があります。
期限内に正しく申告する必要があるため、税理士や税務署に相談しながら進めましょう。
手続き先は、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署になります。
7. 相続発生後~1年以内に必要な手続き
相続発生後~1年以内に必要な手続きは、遺留分侵害額請求です。
詳しく見ていきましょう。
遺留分侵害額請求
遺留分侵害額請求を行う場合は、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った日から1年以内(知らなかった場合は相続開始から10年以内)に手続きする必要があります。
遺留分とは、配偶者、直系卑属(子ども・孫)、直系尊属(親・祖父母)が最低限相続できる権利および割合を定めたものです。
例えば、被相続人が「愛人に全ての財産を渡す」という内容の遺言を残していた場合、法定相続人(兄弟姉妹を除く)は、相手方に遺留分侵害額請求を行うことで、遺留分に当たる金額を取り戻すことができます。
この期限は民法1048条で規定されています。
(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
第千四十八条
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
期限を過ぎると、請求ができなくなるため、早めに手続きを行いましょう。
手続き先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所または相手方と合意した家庭裁判所になります。
8. 相続発生後~2年以内に必要な手続き
相続発生後~2年以内に必要な手続きは、以下の通りです。
- 高額療養費の申請
- 葬祭費・埋葬料の申請
それぞれ詳しく見ていきましょう。
8-1. 高額療養費の申請
高額療養費を受け取るためには、診療を受けた月の翌月の初日から2年以内に申請する必要があります。
高額療養費とは、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が、1ヶ月間(1日〜末日)で一定額を超えた場合、自己負担を軽減するために支給されるものです。
この期限は「国民健康保険法第110条1項」と「健康保険法第193条第1項」で規定されています。
国民健康保険法(時効)
第百十条
保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
健康保険法(時効)
第百九十三条
保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によって消滅する。
期限を過ぎると、時効により受け取れなくなってしまうため、早めに手続きしておきましょう。
手続き先は、以下のように加入している医療保険によって異なります。
- 国民健康保険 → 市区町村役所の保険課(年金課)
- 健康保険 → 健康保険証に記載されている健康保険組合(協会けんぽ等)
8-2. 葬祭費・埋葬料の申請
葬祭費や埋葬料を受け取るためには、葬祭を行った日の翌日から2年以内に申請しなければいけません。
葬祭費とは、被相続人が国民健康保険または後期高齢者医療制度(75歳以上)の加入者であった場合に支給されるもので、金額は3万円~7万円となっています。
埋葬料とは、健康保険(協会けんぽ等)の加入者に支給されるもので、金額は一律5万円となっています。
期限は先ほどの国民健康保険法第110条1項・健康保険法第193条第1項 で2年以内と規定されているため、忘れないように早めに手続きしましょう。
手続き先は、以下のとおりです。
- 葬祭費 → 市区町村役所の保険課(年金課)
- 埋葬料 → 勤務先の健康保険組合、または社会保険事務所
[大阪市HP]後期高齢者医療に加入されている方が亡くなられたときは、葬祭を行った方に葬祭費が支給されます。
9. 相続発生後~3年以内に必要な手続き
相続発生後~3年以内に必要な手続きは、以下の通りです。
- 相続登記の申請
- 死亡保険金の請求
それぞれ詳しく見ていきましょう。
9-1. 相続登記の申請
相続財産に不動産が含まれている場合は、相続登記を所有権の取得を知った日または遺産分割が成立した日から3年以内に申請しなければいけません。
この期限は「不動産登記法第76条の2第1項」に規定されています。
(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。
相続登記(不動産の名義変更)は2024年の4月1日から義務化されているため、期限内に行わなかった場合、10万円以下の過料が科せられる可能性があります。
自分で行うのが難しい場合は、司法書士に相談しましょう。
手続き先は、不動産の所在地を管轄する法務局です。
被相続人が複数の不動産を各地に所有していた場合は、それぞれを管轄する法務局に申請を行う必要があります。
[東京法務局HP]相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)
9-2. 死亡保険金の請求
死亡保険金を受け取るためには、権利を行使できる日から3年以内に請求する必要があります。
この期限は「保険法95条」に定められています。
(消滅時効)
第九十五条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。
死亡保険金を請求する権利は、被相続人の死亡から3年を経過すると時効により消滅します。
一方、大手保険会社は、3年経過後であっても請求できる場合があります。
参考までに、大手保険会社3社のHPと記載されている請求の期限は以下のとおりです。
手続き先は、保険契約を締結した各保険会社となります。
10. 相続発生後〜5年以内に必要な手続き
相続発生後5年以内に必要な手続きは、以下の通りです
- 遺族年金の請求
- 未支給年金の請求
- 相続回復請求
それぞれ詳しく見ていきましょう。
10-1. 遺族年金の請求
遺族年金を受け取るためには、受給する権利が発生した日の翌日から5年以内に申請する必要があります。
遺族年金には以下の2種類があり、いずれも亡くなられた方に生計を維持されていた遺族に支給されます。
- 遺族基礎年金:国民年金保険に加入中の方が、亡くなられた場合に支給
- 遺族厚生年金:厚生年金保険に加入中または加入していた方が、亡くなられた場合に支給
この期限は「国民年金法第102条第1項」と「厚生年金保険法第92条第1項」に定められています。
国民年金法(時効)
第百二条
年金給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から五年を経過したとき、当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる年金給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該年金給付の支給に係る第十八条第三項本文に規定する支払期月の翌月の初日から五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。
厚生年金保険法(時効)
第九十二条
保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したとき、保険給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から五年を経過したとき、当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該保険給付の支給に係る第三十六条第三項本文に規定する支払期月の翌月の初日から五年を経過したとき、保険給付の返還を受ける権利は、これを行使することができる時から五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。
いずれも5年を経過すると、時効により受け取れなくなってしまうため、早めに準備しておきましょう。
手続き先は、以下のとおり被相続人が加入していた年金保険によって異なります。
- 遺族基礎年金 → 住所地の市区町村役場の保険課(年金課)
- 遺族厚生年金 → 近くの年金事務所または年金相談センター
10-2. 未支給年金の請求
未支給年金を受け取るためには、受給権者の年金の支払日の翌月の初日から5年以内に申請する必要があります。
未支給年金とは、故人がまだ受け取っていない年金や亡くなった日より後に振り込まれた年金のことで、遺族が代わりに受け取ることができます。
期限は先ほどの国民年金法第102条第1項・厚生年金保険法第92条第1項で5年以内と規定されているため、忘れないように早めに手続きしておきましょう。
手続き先は、年金事務所または年金相談センターになります。
10-3. 相続回復請求
相続回復請求を行う場合は、相続権が侵害された事実を知った時から5年以内(知らなかった場合は相続開始から20年以内)に手続きする必要があります。
相続回復請求とは、真正な相続人が相続人でない者に権利を侵害されている場合に、その侵害を排除し相続権の回復を求めることです。
この期限は「民法884条」に定められています。
(相続回復請求権)
第八百八十四条
相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。
当事者間の話し合いで解決できない場合、期限内に請求することで相続権を取り戻せる可能性があります。
自分で行うのが難しい場合は、弁護士に相談しましょう。
手続き先は、相手方の住所地を管轄する地方裁判所になります。
11. まとめ
本記事でご説明した相続手続きは、自分一人でも行うことができます。
しかし、数多くの手続きがあり、それぞれに専門知識が必要になるため、現実的ではありません。
スムーズかつ確実に手続きを進めるために、専門家へのご相談をおすすめします。
ノア行政書士事務所では、以下をはじめ、あらゆる相続手続きを丸投げできるサービスをご提供しております。
- 相続人の調査
- 相続財産の調査
- 遺産分割協議
- 相続放棄・限定承認の申述
- 相続税申告・納付
- 相続登記の申請
- 預貯金の払戻し
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期限に間に合うか不安な人、トラブルを避けたい人は、相続手続きに強みを持つ「ノア行政書士事務所」までお気軽にご相談くださいませ。
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