相続手続きで必須!戸籍謄本の種類と集め方を徹底解説!
相続手続きを行うためには、戸籍謄本が必要になります。
しかし、戸籍謄本を日常生活で使用することはほとんどないため、
「戸籍がなぜ必要になるのか?」
「戸籍はどのように集めればいいのか?」
と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、相続手続きにおける戸籍謄本の役割や種類を解説するとともに、具体的な取得方法について解説していきます。
本記事をご覧いただければ、相続手続きで必要な戸籍謄本をスムーズに集められるようになるでしょう。
1. 戸籍謄本の役割
1-1. 戸籍謄本とは
戸籍とは、身分や親族関係を公に証明する台帳のことで、出生や死亡、婚姻関係、親子関係、兄弟姉妹などが登録されています。
謄本(とうほん)とは、情報を写した証明書のことです。
つまり、戸籍謄本とは、親族関係の証明書のことを言います。
1-2. 相続手続きで戸籍謄本が必要な理由
相続手続きで戸籍謄本が必要な理由は、以下の2つです。
- 被相続人が死亡したことを確認するため
- 誰が法定相続人になるのかを確認するため
この2つの事項は、相続手続きにおいて、金融機関や法務局で必ず確認されます。
なお、この2つの事項を確認できる公的な書類は、現行制度では戸籍謄本のみとなっています。
2. 戸籍謄本の種類
相続手続きでは、戸籍謄本と合わせて、除籍謄本と改正原戸籍謄本も取得する必要があります。
これらをまとめて戸籍謄本と呼ぶこともありますが、それぞれ取得する目的は異なります。
取得方法(詳細は5章で)は戸籍謄本交付請求書にチェックを入れるだけです。
ご参考までに、下記のリンクから大阪市の請求書をご確認いただけます。
2-1. 除籍謄本とは
除籍謄本(じょせきとうほん)とは、結婚や離婚、死亡や転籍、養子縁組などの理由で、在籍する者がいなくなった戸籍情報の写しのことです。
様式は、戸籍謄本と同じですが、除籍謄本の場合は「除籍」と記載されます。
除籍謄本は、生前の戸籍に誰もいなくなったことを証明する場合に必要になります。
2-2. 改正原戸籍謄本とは
改正原戸籍謄本(かいせいはらこせきとうほん)とは、戸籍法が改正される前の古い戸籍情報の写しのことで、現在の戸籍を表す「げんこせき」と区別するために「はらこせき」と呼ばれることもあります。
戸籍の様式が新しくなる際に、改正前の情報が全て転記されるわけではありません。
そのため、被相続人が平成6年以前に出生している場合は、原戸籍(旧書式)と現戸籍(新書式)の両方を取得する必要があります。
また、除籍謄本にも新旧の書式があり、平成6年以前に戸籍に在籍する者がいなくなった場合は旧書式、それ以降の場合は新書式になります。
2-3. 戸籍抄本とは
戸籍抄本(こせきしょうほん)は、戸籍に在籍する1名もしく複数名の戸籍情報の写しのことです。
発行手数料は戸籍謄本・抄本ともに1通450円のため、相続手続きでは、1通あたりの情報量が多い戸籍謄本を取得します。
戸籍抄本は、本人情報のみ提示が必要な場合や、親族情報は開示したくない場合に有効です。
3. 相続手続きで必要な戸籍謄本
相続手続きで必要な戸籍謄本は、次の2つです。
- 被相続人の出生から死亡まで全ての戸籍謄本(除籍謄本と改正原戸籍を含む)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1. 被相続人の出生から死亡まで全ての戸籍謄本
被相続人の出生から死亡まで全ての戸籍謄本(除籍と改正原戸籍を含む)は、①被相続人の死亡日を確認するためと、②法定相続人を確認するために必要です。
①被相続人の死亡日は、死亡届を市区町村役場に提出後、生前の戸籍謄本(除籍謄本)に記載されます。
②法定相続人は「被相続人の出生時から死亡までの戸籍謄本」に記載されている配偶者や直系卑属(子ども・孫)直系尊属(親・祖父母)兄弟姉妹(甥姪)の中から、民法で定められた順位によって決まります。
3-2. 相続人全員の現在の戸籍謄本
相続人全員の現在の戸籍謄本は、法定相続人が生きていることを確認するために必要です。
相続人となる配偶者や未婚の子などの戸籍謄本は、3-1で既に取得している場合があります。
この場合は、改めて取得する必要はありません。
また、以下のに該当する場合、追加で戸籍謄本が必要になります。
- 代襲相続(相続人が既に亡くなっている)が発生している場合
- 兄弟姉妹が相続人になる場合
代襲相続が発生している場合は、代襲相続人を確定するために、①被代襲者の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本と改製原戸籍謄本を含む)と、②代襲相続人全員の現在の戸籍謄本が必要になります。
兄弟姉妹が相続人になる場合は、被相続人の直系尊属(親や祖父母)が死亡していることを確認し、異父兄弟・異母兄弟がいないかを確認するため、被相続人の両親それぞれの出生から死亡までの戸籍謄本が必要になります。
4. 戸籍謄本を必要とする相続手続き
戸籍謄本が必要となる主な相続手続きは、次の9種類です。
手続きの内容 | 戸籍の提出先 |
自筆遺言書の検認 | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
法定相続情報一覧図の写しの交付 | 被相続人の最後の住所地を管轄する法務局 |
預貯金の引出し | 被相続人名義の口座がある金融機関 |
有価証券の名義変更 | 上場株式(公開株式)の場合→証券会社 非上場株式(非公開株式)の場合→発行会社 投資信託→保有口座がある証券会社 |
不動産の相続登記 | 不動産の所在地を管轄する法務局 |
自動車の名義変更 | 普通自動車の場合→新所有者の住所を管轄する運輸支局 軽自動車の場合→新所有者の住所を管轄する軽自動車検査協会の支所 |
携帯電話の解約 | 契約先の通信会社 |
相続税の申告 | 被相続人の最後の住所地を管轄する税務署 |
相続放棄・限定証人の申立て | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
5. 戸籍謄本の取り方
ここからは戸籍謄本を取得する方法を解説していきます。
①取得できる人 | 本人、配偶者、直系尊属(親・祖父母)、直系卑属(子・孫)、委任による代理人 |
②取得できる場所 | 最寄りの市区町村役場(2024年より広域交付制度 開始) |
③手数料 | 戸籍謄本:1通450円 除籍謄本:1通750円 改正原戸籍謄本:1通750円 |
④必要書類 | 戸籍交付申請書、印鑑、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など) |
5-1. 戸籍謄本を取得できる人
戸籍謄本を取得できる人は本人、配偶者、直系尊属(親・祖父母)、直系卑属(子・孫)です。
傍系血族(兄弟姉妹・おじ・おば・いとこ)や専門家に戸籍収集を依頼する場合は、委任状が必要になります。
なお、婚姻するまでの兄弟姉妹の戸籍は、本人が取得する戸籍と同一になります。
5-2. 戸籍謄本の取得できる場所
戸籍謄本は、最寄りの市区町村役場で取得することができます。
2024年3月1日に戸籍の広域交付制度が開始され、被相続人が、生前に本籍地を何度変更していても、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本すべてを「どこでも、まとめて」同じ市区町村役場で取得できるようになりました。
以前までは本籍地の市区町村役場でしか、戸籍謄本の交付申請することができなかったため、被相続人が生前に本籍地を何度も移動していた場合、非常に手間がかかっていました。
しかし、全国の市区町村役場の戸籍情報が連携されたことで、戸籍の収集がスムーズなりました。
5-3. 戸籍謄本を取得するための費用
取得費用は戸籍謄本が1通450円、除籍謄本が1通750円、改正原戸籍謄本が1通750円です。
ただし、市区町村によって、金額が多少異なる場合があります。
事前に、市区町村役場のHPを確認しておきましょう。
5-4. 戸籍謄本を取得するための必要書類
戸籍謄本を取得するための必要書類は、市区町村役場の窓口で交付申請をするか、郵送で交付申請をするかによって異なります。
市区町村役場の窓口で交付申請をする場合、必要書類は以下のとおりです。
- 戸籍交付申請書(HPからダウンロードまたは窓口で配布)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
※市区町村役場によっては認印が必要な場合があります。
郵送で交付申請をする場合、必要書類は以下のとおりです。
- 戸籍交付申請書(HPからダウンロードまたは窓口で配布)
- 本人確認書類のコピー(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 手数料分の定額小為替(ゆうちょ銀行または郵便局で購入)
- 返信用封筒(返送先記入、切手貼り付け)
6. 戸籍謄本を取得する通数
6-1. 金融機関の数+3通あれば足りる
相続手続きにおいては、戸籍謄本の原本の提出を求められることが多々あります。
途中で戸籍謄本の原本が不足してしまうと、もう一度、市区町村役場に交付請求をする必要があるため、余裕を持って取得しておきましょう。
一般的な相続手続きでは「被相続人名義の金融機関の数+3通」の戸籍謄本の原本があれば、不足することはほとんどありません。
名義変更をする不動産や自動車が多い場合は、その分だけ余裕を見て取得しておくのが良いでしょう。
6-2. 法定相続情報証明制度を利用すれば1通で済む
法定相続情報証明制度は、何通にも及ぶ戸籍謄本の束を1部にまとめることができる制度で、法務局の認証を受けた法定相続情報一覧図の写しは戸籍謄本の束と同じ役割を果たします。
つまり、戸籍謄本を1通ずつ取得し、法定相続情報一覧図を作成すれば、それ以降の相続手続きで戸籍謄本を取得する必要がなくなります。
法定相続情報証明制度は無料で利用できる上に、法定相続情報一覧図はコピーでも相続手続きができます。
スムーズな相続手続きを行うために、法定相続情報証明制度の利用をおすすめします。
7. 戸籍謄本に関するQ&A
相続手続きにおける戸籍謄本について、よくある質問に回答させていただきます。
- 戸籍謄本に有効期限はありますか?
-
戸籍謄本自体に有効期限はありません。
ただし、婚姻や出生、死亡などによって戸籍情報が更新された場合は、最新の戸籍謄本を取得し直す必要があります。
また、最新の戸籍謄本であっても、提出先によっては「発行日から〇ヶ月以内」のように、期限が設けられている場合があります。
発行年月日から3ヶ月を経過している場合は、提出先に確認するようにしましょう。
- 戸籍謄本の取得を専門家に依頼することはできますか?
-
委任状があれば可能です。
行政書士や司法書士などに、相続手続きの代行を依頼する場合、戸籍収集も業務に含まることがほとんどです。
- 戸籍謄本はコピーでも手続きできますか?
-
ほとんどの手続きで戸籍謄本の原本が必要になります。
遺言書の検認や不動産の相続登記など、法務局の手続きでは原本の提出を求められます。
一部の金融機関の手続きでは、コピーでも可能な場合がありますが、原本の提出を求められることが多いようです。
8. まとめ
相続手続きには複雑な部分もあり、専門の知識も必要になってきます。
そのため、中には「自分ではどうすることもできない」とお悩みの方もおられるかもしれません。
そのような方は、相続手続きに強い「ノア行政書士事務所」までお気軽にご相談ください。
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