自動車を相続したら名義変更が必要!流れや必要書類、放置するリスクを紹介!
自動車の所有者が亡くなった場合、その時点で法定相続人の共有財産になります。
そのため、遺言書や遺産分割協議によって自動車を相続する人を決め、名義変更を行う必要があります。
相続した自動車の名義変更を行わないと、法律違反となり罰則を科せられるリスクがあるだけでなく、売却や廃車にできないといったデメリットがあります。
そこで本記事では、相続した自動車を名義変更する際の流れや必要書類について詳しく解説していきます。
1. 自動車の名義変更とは
自動車の名義変更は、大きく分類すると以下の3つの手続きが必要です。
- 保管場所証明申請
- 移転登録申請
- 自動車税(環境性能割・種別割)申告
①保管場所証明申請は、警察署での車庫証明に関する手続きで、駐車場所を変更する場合のみ必要です。
②移転登録申請は、運輸支局等での登録に関する手続きで、自動車の相続や売買によって所有者が変わった場合に必要です。
③自動車税(環境性能割・種別割)申告は、都道府県税事務所で自動車税の納税通知書の送付先を変更する手続きです。
自動車を相続した際には、①②③の順番で手続きを行いましょう。
2. 相続した自動車を名義変更をせず放置するリスク
自動車の相続で名義変更をせずに放置すると、以下の3つのリスクがあります。
- 法律違反になる
- 車検を受けられない
- 売却や廃車にできない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1. 法律違反になる
自動車の名義変更をしないまま所有していると、罰則を科せられるリスクがあります。
道路運送車両法第13条には、次のように規定されています。
(移転登録)
第十三条
新規登録を受けた自動車(以下「登録自動車」という。)について所有者の変更があつたときは、新所有者は、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければならない。
新所有者となる相続人が確定している場合には、早めに名義変更をしておきましょう。
また、自動車の保管場所の確保等に関する法律第3条には、次のように規定されています。
(保管場所の確保)
第三条
自動車の保有者は、道路上の場所以外の場所において、当該自動車の保管場所(自動車の使用の本拠の位置との間の距離その他の事項について政令で定める要件を備えるものに限る。第十一条第一項を除き、以下同じ。)を確保しなければならない。
相続によって駐車場所が変更となる場合は、忘れずに手続きを行っておきましょう。
2-2. 車検を受けられない
自動車の移転登録をしなければ、有効期間満了後、車検を受けることができません。
道路運送車両法第66条には、次のように規定されています。
(自動車検査証の備付け等)
第六十六条
自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ、国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。
有効な車検証を備え付けないまま、公道を走行した場合、罰則を科せられる可能性があります。
また、車検を受けれなければ、危険な状態であることに気づかず、交通事故の当事者となるリスクがあります。
なお、車検を受けるためには、自動車税を完納していなければいけません。
自動車税の納税通知書は、毎年4月1日に登録されている名義人の住所宛てに、5月上旬から中旬に送付されます。
そのため、名義変更を行わないと、被相続人の住所に通知書が届き、気づかずに未納になってしまう可能性があります。
相続した自動車を走行させる場合は、早めに名義変更を行いましょう。
2-3. 売却や廃車にできない
自動車の名義変更を行わなければ、売却や廃車にすることができません。
自動車は走行させないまま放置すると、エンジンがかからなくなったり、タイヤの空気が抜けたり、車体や部品が錆びついてしまうなど修理費用がかかってしまいます。
また年月が経過すると、中古車としての評価額が下がってしまうため、状態によっては売却できなくなってしまう可能性があります。
相続した自動車に乗り続ける予定がない場合、早めに処分することをおすすめします。
3. 相続した自動車の名義変更の流れ
では次に、相続した自動車の名義変更の流れについて詳しく解説していきます。
自動車の名義変更は以下の5つのステップに分かれています。
- ステップ1: 所有名義人の確認
- ステップ2: 相続する人を決める
- ステップ3: 遺産分割協議書の作成
- ステップ4: 必要書類の準備
- ステップ5: 運輸支局等または軽自動車検査協会で手続き
ステップ4とステップ5は、普通自動車と軽自動車に分けて見ていきましょう。
ステップ1:所有名義人の確認
最初に、車検証を見て、所有者の名義が被相続人であるかどうかを確認しましょう。
被相続人が自動車をローンで購入していた場合、車検証(電子車検証の閲覧アプリ)の番号欄にBの記号や、備考欄に所有者情報として販売店やローン会社が記載されている可能性があります。
このような場合、ローンを完済し所有者を変更しなければ、自動車を処分することはできません。
相続する人は、なるべく早めにローンを完済しておきましょう。
ステップ2:相続する人を決める
自動車の所有者が亡くなると、その時点で自動車は法定相続人の共有財産となります。
遺言書があり、自動車を承継する人が指定されている場合は、基本的にその人が自動車を承継します。
遺言書がない場合や、遺言書があっても自動車を承継する人が指定されていない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が相続するかを決める必要があります。
自動車の名義や状態、査定額などを考慮した上で、相続する人を決めましょう。
ステップ3:遺産分割協議書の作成
遺産分割協議により、自動車を相続する人が決まれば、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印が必要です。
また、自動車を特定するため、車検証を確認し、次の番号を記載します。
- 自動車登録番号(または車両番号)
- 車体番号
査定額が100万円以下だった場合、遺産分割協議書に代えて、遺産分割協議成立申立書で名義変更をすることが可能です。
遺産分割協議成立申立書は、自動車を相続する人の署名・実印だけで済むため、他の相続人とのやり取りを省くことができます。
ステップ4:必要書類の準備
自動車を相続する人が決まれば、次は必要書類を準備しましょう。
普通自動車と軽自動車で、名義変更で必要となる書類は異なります。
普通自動車の必要書類
相続における普通自動車(661cc以上のクルマ)の名義変更には、以下の書類が必要です。
順番に詳しく見ていきましょう。
- 自動車検査証(車検証)
- 新所有者となる相続人の印鑑証明書
- 移転登録申請書
- 手数料納付書 △
- 自動車保管場所証明書(車庫証明書)△
- 自動車登録番号標(ナンバープレート)△
- 遺言書 or 遺産分割協議書 or 遺産分割協議成立申立書
- 所有者の死亡が確認できる戸籍謄本(または除籍謄本)
- 相続人全員が確認できる戸籍謄本等
- 自動車税(環境性能割・種別割)申告書
- 委任状 △
(△は該当する場合は提出が必要)
①自動車検査証(車検証)
移転登録手続きには、車検証が必要になります。
車検証は保安基準に適合していることを証明する書類で、公道を走行する際には、必ず原本を携行しなければいけない書類です。
どこにあるかわからない場合は、助手席前のグローブボックスやドアポケット、トランクなどを探しましょう。
従来の車検証はA4サイズ(297mm×210mm)の用紙でしたが、電子化に伴いA6サイズ(177.8mm×105mm)相当の厚紙にICタグが貼り付けられるようになりました。
電子車検証の場合、紙面には変更を伴わない基礎情報が記載され、ICタグには変更を伴う情報が格納されています。
電子車検証の場合でも、公道走行時に携行するというルールに変わりはありません。
②新所有者となる相続人の印鑑証明書
発行日から3ヶ月以内の印鑑証明書が必要です。
押印漏れや書き損じに備えて、実印も持参しておきましょう。
③移転登録申請書
申請書は以下の3つの取得方法があります。
- 運輸支局の窓口で取得
- 国交省HPからダウンロード
- Web上で作成・印刷
国交省HPからダウンロードする場合は、下記のリンク内の「第1号様式」を使用します。
記入例を参考にしながら、空欄を埋めましょう。
Web上で作成・印刷する場合は、下記リンクより申請内容をパソコン等で直接入力できます。
手書きする必要がなく、再編集が可能なため、こちらの方法がおすすめです。
[自動車検査登録ポータルサイト]売買等により 譲渡、譲受する手続き
④手数料納付書
手数料は以下の3つの納付方法があります。
- 手数料納付書に収入印紙を貼り付けて納付
- クレジットカードで納付
- インターバンキングまたはATMから電子納付
手数料納付書で納付する場合、納付書を運輸支局の窓口で取得するか、下記からダウンロードし、登録手数料500円分の収入印紙を貼り付けます。
収入印紙は、運輸支局に併設されている窓口やコンビニ、郵便局等で購入しましょう。
クレジットカードで納付する場合、お支払い情報登録サービスから支払います。
運輸支局等での印紙購入・貼付けが不要となるため、こちらの方法がおすすめです。
[自動車検査登録ポータルサイト]車に関する税・手数料を クレジットカードで お支払いするためには
電子納付する場合、ワンストップサービスを利用し、インターネットバンキングまたはPay-easy(ペイジー)マークのあるATMから支払います。
ただし、電子証明書(マイナンバーカード等)とICカードリーダーの準備が必要です。
⑤自動車保管場所証明書(車庫証明書)
自動車の駐車場所が変わる場合は、車庫証明書が必要です。
車庫証明書とは、自動車を保管する場所が確保されていることを証明する書類のことで、公道に駐車しないように取得が義務付けられています。
新所有者の自宅や会社などに、駐車場所を移動させる場合は、改めて取得する必要があります。
申請書は、駐車場所を管轄する都道府県警察のHPからダウンロードするか、警察署の窓口で取得できます。
所定の添付書類と申請手数料を準備し、駐車場所を管轄する警察署交通課で手続きしましょう。
約1週間後、同じ窓口で車庫証明書を受け取ることができます。
⑥自動車登録番号標(ナンバープレート)
自動車の名義変更によって駐車場所が変わり、管轄する運輸支局等も変更になる場合、車両もしくは取り外したナンバープレートが必要です。
ナンバープレートには、管轄する運輸支局等の名称が表示されています。
管轄が変わる場合、古いナンバープレートを返納後、新しいナンバープレートを購入し封印(取り付け)しましょう。
[近畿運輸局HP]近畿の運輸支局・自動車検査登録事務所の管轄地域
⑦遺言書 or 遺産分割協議書 or 遺産分割協議成立申立書
自動車を相続する権利があることを確認するために、以下のいずれかの書類が必要になります。
- 遺言書:所有者が承継人を指定していた場合
- 遺産分割協議書:遺言書が残されておらず、相続人が2人以上の場合
- 遺産分割協議成立申立書:価格が100万円以下で、遺産分割協議書の代わりに提出する場合
公正証書以外の遺言書を提出する場合、家庭裁判所で検認済みのものである必要があります。
ただし、法務局に保管されていた場合は検認は不要です。
遺産分割協議書を提出する場合、相続人全員の印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内)を添付する必要があります。
遺産分割協議成立申立書を提出する場合、価格が100万円以下であることがわかる査定証を添付する必要があります。
⑧所有者の死亡が確認できる戸籍謄本(または除籍謄本)
自動車の所有者が亡くなっていることを確認するために、以下のいずれかの書類が必要になります。
- 戸籍謄本:所有者の死亡後も、同じ戸籍に在籍する者がいる場合
- 除籍謄本:所有者の死亡によって、同じ戸籍に在籍する者がいなくなった場合
戸籍謄本と除籍謄本の取得方法や書式は同じです。
⑨相続人全員が確認できる戸籍謄本等
亡くなった所有者と相続人全員の関係を確認するために、以下の戸籍謄本等が必要になります。
- 所有者の出生から死亡まで連続した戸籍謄本等
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
法定相続情報一覧図を活用することで、⑧⑨で取得した何通にも及ぶ戸籍謄本等を1枚にまとめることができます。
法定相続情報一覧図は、法務局に必要書類を提出することで、無料で交付が受けられます。
相続手続きの時間を大幅に短縮できるため、ぜひ活用しましょう。
⑩自動車税(環境性能割・種別割)申告書
最後に、自動車税申告書を提出する必要があります。
申告書は、運輸局・運輸支局等に隣接する、都道府県税事務所の窓口で取得することができ、提出先も同じ窓口です。
申告書を提出することで、都道府県税事務所の納税者の登録情報が変更されます。
車検を受けるためには自動車税を必ず納めなければいけません。
忘れないように、同じ日に手続きを済ませておきましょう。
⑪委任状
親族やディーラー、専門家など第三者に手続きの代行を依頼する場合は、委任状が必要になります。
委任状の参考様式は、以下からダウンロードできます。
軽自動車の必要書類
相続における軽自動車(660cc以下のクルマ)の名義変更には、以下の書類が必要です。
順番に詳しく見ていきましょう。
- 自動車検査証(車検証)
- 新所有者となる相続人の住民票または印鑑証明書
- 自動車検査証変更記録申請書
- ナンバープレート(車両番号標)△
- 所有者が亡くなったことと新所有者が相続人であることが確認できる戸籍謄本等
- 軽自動車税(種別割・環境性能割)申告書
- 自動車保管場所届出書(車庫の届出)△
- 申請依頼書 △
(△は該当する場合は提出が必要)
①自動車検査証(車検証)
軽自動車の名義変更の手続きにおいても、車検証が必要になります。
車検証は携行が義務付けられているため、車内のどこかにあるはずです。
令和6年1月から軽自動車の車検証が電子化され、A4サイズ(297mm×210mm)からA6サイズ(177.8mm×105mm)に変更し、閲覧アプリで変更情報が確認できるようになりました。
②新所有者となる相続人の住民票または印鑑証明書
軽自動車の新所有者の住所を確認するため、発行日が3ヶ月以内の住民票または印鑑証明書が必要になります。
市区町村役所またはコンビニで取得することができます。
③自動車検査証変更記録申請書
軽自動車の名義変更の場合、「軽第1号様式」の申請書の提出が必要です。
申請書は、軽自動車検査協会事務所の窓口で取得するか、下記リンクからダウンロードできます。
[軽自動車検査協会HP]各種申請書(OCRシート)ダウンロード時の注意点
④車両番号標(ナンバープレート)
軽自動車の名義変更によって、駐車場所を管轄する軽自動車検査協会事務所が変更になる場合、車両もしくは取り外したナンバープレートが必要になります。
ナンバープレートを紛失している場合は、車両番号標未処分理由書の提出しなければいけません。
理由書は、軽自動車検査協会事務所の窓口で取得するか、下記リンクからダウンロードできます。
⑤所有者が亡くなったことと新所有者が相続人であることが確認できる戸籍謄本等
車検証に記載されている所有者が死亡した事実と、新所有者が相続人であることを確認するため以下のいずれかの書類が必要になります。
- 戸籍謄本等
- 法定相続情報一覧図
いずれもコピーによる提出が認められています。
⑥軽自動車税(種別割・環境性能割)申告書
軽自動車検査協会事務所に隣接する都道府県税事務所に軽自動車税申告書を提出する必要があります。
申告書は当日、都道県税事務所で取得することができます。
⑦自動車保管場所届出書(車庫の届出)
軽自動車検査協会事務所での手続き(車検証の交付)後に、地域によっては駐車位置を管轄する警察署に自動車保管場所届出書を提出する必要があります。
詳細は管轄する警察署のHPを確認しましょう。
⑧申請依頼書
代理人に手続きを依頼する場合は、申請依頼書の提出が必要です。
軽自動車の名義変更では、委任状の代わりに所定の申請依頼書を使用します。
申請依頼書軽自動車検査協会事務所で取得するか、下記リンクからダウンロードできます。
ステップ5:運輸支局等または軽自動車検査協会事務所で手続き
必要書類の準備ができれば、名義変更の手続きに移りましょう。
普通自動車と軽自動車で手続き先が異なります。
普通自動車の場合、運輸支局等で手続き
普通自動車の名義変更の手続きには、以下の2つの方法があります。
- 運輸支局等の窓口で手続き
- ワンストップサービスで手続き
運輸支局等で手続きする場合、駐車場所を管轄する運輸支局等に出向き、必要書類を提出します。
名義変更により駐車場所が変わる場合は、新しい駐車場所を管轄する運輸支局等が窓口になります。
管轄する運輸局等が自宅の近くにある方や、手続きに不安のある方におすすめです。
ワンストップサービスで手続きする場合、Web上で入力と必要書類のアップロード、電子納付を行います。
電子証明書(マイナンバーカード等)とICカードリーダーの事前準備が必要ですが、自宅からでも手続きができるためおすすめです。
軽自動車の場合、軽自動車検査協会事務所で手続き
軽自動車の名義変更の手続きは、駐車場所を管轄する軽自動車検査協会事務所で行います。
名義変更により駐車場所が変わる場合は、新しい駐車場所を管轄する事務所が窓口になります。
普通自動車と同様に、軽自動車にもワンストップサービスがありますが、現時点では名義変更の手続きは対象外です。
今後システムの更新により、自宅にいながら軽自動車の名義変更ができるようになるかもしれません。
[軽自動車保有関係手続のOSS]軽自動車ワンストップサービスとは
4. 自動車を相続した後の手続き
相続した自動車の名義変更が終わったとしても、まだ安心できません。
なぜなら、他にもやるべきことがあるからです。
ここからの手続きは、相続した自動車をどうするのかによっても変わります。
以下、相続した自動車に乗りける場合と売却する場合、それから廃車にする場合に必要な手続きについて詳しく見ていきましょう。
4-1. 相続した自動車に乗り続ける場合
被相続人が所有していた自動車に様々な思い出が詰まっていて、中には「そのまま乗り続けたい」と考える方もいるでしょう。
相続した自動車に乗り続ける場合、以下の2つの手続きが必要です。
- 自賠責保険の名義変更
- 任意保険(自動車保険)の名義変更
順番に詳しく解説していきます。
自賠責保険の名義変更
自動車を相続した場合、自賠責保険の契約の名義変更する必要があります。
自動車損害賠償保障法第5条には、次のように規定されています。
(責任保険又は責任共済の契約の締結強制)
第五条
自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。
自賠責保険は、自動車事故における被害者救済を目的とし、全国一律の補償内容と保険料のもとで契約が義務付けられています。
自賠責保険の名義変更の手順は、以下のとおりです。
- 相続した自動車を運輸支局等で名義変更する
- 自賠責保険の契約先の保険会社に、契約者の死亡と契約の名義変更をしたい旨を伝える
- 必要書類を準備する
- 保険会社の窓口に出向き、名義変更の手続きをする
自賠責保険の名義変更で必要となる主な書類は、以下のとおりです。
保険会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
- 登録事項等証明書: 自動車の名義変更が完了したことを証明
- 自賠責保険異動承認請求書(または権利譲渡通知書): 窓口で記入
- 自賠責保険証明書: 自賠責保険に加入していたことを証明
- 戸籍謄本(または除籍謄本): 契約者の死亡を確認
自賠責保険の名義変更をしないまま事故の当事者となった場合、補償を受けられない可能性があるため、早めに手続きしておきましょう。
任意保険(自動車保険)の名義変更
被相続人が自賠責保険だけでなく任意保険を契約していた場合、同様に名義変更が必要です。
任意保険の名義変更の手順は自賠責保険と同じですが、必要書類は契約先の保険会社によって異なります。
また、任意保険の補償内容や保険料は、保険会社や保険商品、さらに契約者や被保険者の人数、属性、等級などによって様々です。
事前に必要書類や契約内容をしっかり確認した上で、任意保険を解約し新規契約するか、名義変更し継続するかの判断が必要になります。
任意保険の契約名義人が被相続人のまま、万が一事故を起こしてしまった場合、十分な補償を受けれない可能性があるため、自賠責保険と同時に手続きを済ませておきましょう。
4-2. 相続した自動車を売却する場合
自動車を相続すると、自動車税や車検など維持費がかかるため、中には「売却したい」と考える方もおられるかと思います。
売却先が自動車販売業者の場合、名義変更の手続きも代行してくれるため、時間と手間を省くことができます。
自動車を売却する手順は、以下のとおりです。
- 相続した自動車を名義変更する
- 中古車販売業者に自動車の査定を依頼する
- 査定額に納得すれば、必要書類を準備し売買契約をする
- 自動車の引き渡し・代金受け取り
相続した自動車を売却する場合、主に以下の書類が必要になります。
中古車販売業者によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
- 実印
- 印鑑証明書
- 自動車検査証(車検証)
- 自動車納税証明書
- 自賠責保険証
- 自動車リサイクル券
- メンテナンスノート(点検・整備の記録)
メンテナンスノートは必須ではありませんが、査定額が上がる可能性があるため、準備しておく方が良いでしょう。
また、複数の自動車販売業者に査定を依頼し、他よりも高く売却でき、サービスの良い業者に売却するのがおすすめです。
4-3. 相続した自動車を廃車にする場合
相続した自動車を廃車にする流れや必要書類は、こちらの記事で詳しく解説しています。
廃車にする場合も、先に名義変更を行なっておく必要があります。
5. 相続した自動車の名義変更方法
相続した自動車の名義変更方法は、大きく分けると以下の3つです。
- 自分で手続きをする
- ディーラーに手続きを依頼する
- 専門家に手続きを依頼する
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
5-1. 自分で手続きをする
自分で手続きすることによって代行費用を節約できるため、コストをかけたくない方にはおすすめです。
相続した自動車の名義変更は、そこまで難しくないため自分でも行えます。
運輸支局等の窓口に行けば、ある程度のことは教えてもらえるでしょう。
ただし、遺産分割協議書や相続人全員が確認できる戸籍謄本が必要になるケースでは、専門的な知識が必要になるため注意が必要です。
また、運輸支局等の受付は平日のみで、所要時間も半日ほどかかるため、まとまった時間を確保できない方は別の方法を検討した方が良いかもしれません。
5-2. ディーラーに手続きを依頼する
必要書類が全てそろっている場合、ディーラーに手続きを任せることもできます。
3万円前後の費用が発生しますが、ディーラーに依頼することによって、運輸支局等に出向く手間を省くことができるでしょう。
ただし、必要書類は自身で用意する必要があるため注意が必要です。
5-3. 専門家に手続きを依頼する
必要書類の収集と作成を含めスムーズに手続きしたい場合、行政書士や司法書士などの専門家に依頼するのがおすすめです。
費用は2万円〜3万円程度で、書類の取り寄せから手続きまで、ほとんどの業務を代行してくれるため、時間と手間を軽減できます。
また、行政書士や司法書士は、相続した自動車の名義変更だけでなく、その他の相続手続きの相談や代行も依頼することが可能です。
「相続手続きをまとめて依頼したい」という方は、専門家へのご相談をおすすめします。
6. 自動車相続のことなら「ノア行政書士事務所」にお任せください!
自動車の手続きは、収集する書類が多く、一部の手続きには専門知識が必要なため、中には
「どうすればいいかわからない」
とお悩みの方もおられるかと思います。
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7. まとめ
自動車の所有者が死亡すると、その時点で自動車が法定相続人の共有名義(共有財産)となります。
特定の相続人の名義に変更する場合は、名義変更手続きが必要になるため、事前に知識をつけておかなければなりません。
相続した自動車の名義変更は、やろうと思えば自分でもできますが、非常に手間と時間がかかるため、スムーズに手続きを進めたい方は専門家に相談するのがおすすめです。
ノア行政書士事務所では、相続した自動車の名義変更だけでなく、相続に関する手続き全般に対応していますので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。
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