遺言執行者は必要?おすすめするケースと選任方法を徹底解説!
「遺言執行者って必要なの?」
「具体的に何をする人なの?」
本記事をご覧いただいている方は、このような疑問をお持ちではないでしょうか。
また、遺言書の作成を検討されている方もおられるかもしれません。
本記事では、遺言執行者の役割だけでなく、具体的な選任方法までわかりやすく解説していきます。
ぜひ、最後までご覧ください!
1. 遺言執行者は何をする人?
遺言執行者とは「遺言内容を実現するため、遺言者に代わって手続きを進めていく人」です。
遺言書が開封され、効力を発揮する時点で、遺言者(遺言書を作成した人)は亡くなっています。
そのため、遺言者本人が遺言内容を実現するために、尽力することはできません。
遺言者からすると、本当に遺言内容の通りに、遺贈や相続がなされるか不安ですよね。
遺言執行者は、この不安を解消することができる唯一無二の存在です。
ケースによっては、遺言執行者が選任されていないと、遺産の分け方をめぐり、相続争いに発展してしまう可能性があります。
有効な遺言書を残すだけでなく、遺言執行者を選任しておくことが重要です。
2. 遺言執行者の義務
遺言執行者は、遺言の執行にかかる一切の行為をする権利と義務を有します。
権利義務に関しては、民法第1002条で規定されています。
(遺言執行者の権利義務)
第千十二条
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
異議を唱える者がいても、自らの権限で、相続や遺贈、寄付を行います。
一方で、遺言執行者は以下の2つは必ず行わなければいけません。
- 遺言執行者就職通知
- 財産目録作成・交付
順番に詳しく見ていきましょう。
2-1. 遺言執行者就職通知
遺言執行者は就職時に、相続人全員へ通知する義務があります。
通知義務に関して、民法第1007条で次のように規定されています。
(遺言執行者の任務の開始)
第千七条
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
遺言執行者が任務を開始した時の通知内容は以下のとおりです。
- 遺言執行者に就職したこと
- 氏名・住所・連絡先
- 職務内容
- 遺言内容(遺言書のコピー)
遺言執行者は相続手続きを進める前に、遅滞なく全ての相続人に通知しなければいけません。
トラブルを未然に防ぐためにも、早めに通知しておくことが大切です。
2-2. 財産目録作成・交付
遺言執行者は、相続人と相続財産を調査が完了した後、財産目録を作成し、相続人全員に交付しなければいけません。
財産目録の作成・交付に関して、民法第1011条で以下のように規定されています。
(相続財産の目録の作成)
第千十一条
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
遺言執行者が就職時の通知や、財産目録の作成・交付を行わなかった場合、利害関係人(相続人や受遺者など)は、相当の期間を定めて求めにも応じてもらえない場合、家庭裁判所に解職を請求することができます。
3. 遺言執行者の職務内容
遺言執行者は、相続人を代表して、あらゆる相続手続きを行います。
遺言執行者の職務内容は主に以下のとおりです。
- 遺産の管理
- 遺言書の検認
- 相続人の調査
- 相続財産の調査
- 貸金庫の開扉、引き出し
- 預貯金の払戻し
- 口座の名義変更
- 相続登記の申請
- 自動車の名義変更
- 保険金受取人の変更
- 遺贈
- 寄付
- 非嫡出子の認知
- 相続人の廃除
上記の職務は、遺言執行者が単独で行うことが可能です。
4. 遺言執行者の選任は必要?
全ての手続きで、遺言執行者が必要なわけではありません。
遺言執行者を選任しなくても、相続人や受贈者の関係が良好であれば、問題なく進めることができるでしょう。
しかし、遺言執行者にしか認められていない手続きや、選任しておいた方が良いケースがあります。
詳しく見ていきましょう。
4-1. 選任が必須のケース
遺言執行者の選任が必須となる手続きは、次の2つです。
- 遺言による非嫡出子の認知
- 遺言による相続人の廃除
上記を予定している場合は、遺言執行者を必ず選任しておきましょう。
4-2. 選任がおすすめのケース
次のいずれかに当てはまる場合は、遺言執行者の選任をおすすめします。
- 認知症の相続人がいる
- 非協力的な相続人がいる
- 忙しい相続人がいる
- 相続人が多い
上記のケースで、遺言執行者が選任されていない場合、相続人全員で遺言を執行しなければならず、手続きに時間がかかってしまいます。
遺言執行者が選任されている場合、相続人にどんな人が何人いようと、単独で遺言を執行することができます。
相続手続きを滞りなく進めるため、遺言執行者を選任しておくことをおすすめします。
5. 遺言執行者を選任する方法
遺言執行者を指定する方法は、民法第1006条第1項で次のように記載されています。
(遺言執行者の指定)
第千六条
遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
また、家庭裁判所に請求し遺言執行者の選任できることが、民法第1010条で規定されています。
(遺言執行者の選任)
第千十条
遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。
遺言執行者の選任方法をまとめると、次のとおりです。
- 遺言書の中で指定しておく
- 遺言書の中で指定した第三者に選任してもらう
- 家庭裁判所に選任してもらう
①②で、遺言執行者の指定を受けた者は、遺言執行者に就職するかどうかは自由に決めることができます。
また、遺言執行者に就職する場合であっても、専門家など第三者に業務を委任することができます。
5-1. 遺言書の中で指定する場合
遺言書によって遺言執行者を指定する場合、以下の3つを記載します。
- 遺言執行者に指定したい人の住所
- 遺言執行者に指定したい人の名前
- その人を「遺言執行者に指定する」という意思
5-2. 遺言書の中で指定した第三者に選任してもらう場合
遺言書によって、遺言執行者を選任してもらう場合は、以下の3つを記載します。
- 遺言執行者を選任してもらう人の住所
- 遺言執行者を選任してもらう人の名前
- その人に「遺言執行者を選任してもらう」という意思
5-3. 家庭裁判所に選任してもらう場合
次のいずれかに当てはまる場合は、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらいます。
- 遺言執行者が指定されていない
- 遺言執行者の指定を受けた者が就職しない
- 遺言執行者がすでに亡くなっている
家庭裁判所で選任してもらう場合の手続きは、以下のとおりです。
申立てができる人 | 相続人 遺言者の債権者 遺贈を受けた者 など |
申立て先 | 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所 |
申立てに必要な費用 | 遺言書1通につき収入印紙800円分 連絡用の郵便切手 |
申立てに必要な書類 | 申立書 標準的な申立添付書類 ・遺言者の死亡の記載がある戸籍 ・遺言執行者候補者の住民票または戸籍附票 ・遺言書の写し又は遺言書の検認調書謄本の写し ・利害関係を証する資料 |
具体的な家庭裁判所での選任方法は、下記のリンクからご確認いただけます。
6. 遺言執行者に選任すべき人
遺言執行者は、未成年者や破産者を除き、誰でもなることができます。
もちろん、相続人や受遺者の中から選任することも可能です。
しかし、相続手続きには期限があるものが多く、また相続人同士の関係が良好でない場合は、トラブルに発展する可能性があります。
少しでも不安のある方は、信頼できる専門家の選任をおすすめします。
遺言執行者の業務を依頼できる専門家は、以下のとおりです。
- 行政書士
- 弁護士
- 税理士
- 信託銀行
- 司法書士
7. まとめ
遺言執行者の選任、遺言の執行には、専門的な知識も必要になってきます。
遺言内容が複雑な場合は、第三者の立場でもある専門家の選任をおすすめします。
遺言・相続専門のノア行政書士事務所では、以下のような様々な手続きに対応しています。
- 遺言書作成
- 遺言執行
- 相続人調査
- 財産調査
- 遺産分割協議
- 預貯金の払い戻し
また、弁護士や税理士、司法書士や土地家屋調査士など、あらゆる専門家と連携しているため、相続手続きを丸投げしていただくことも可能です。
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