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相続したバイクは名義変更が必要!小型二輪・軽二輪・原付の手続きの流れと必要書類

バイク 相続
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バイクの所有者が亡くなった時点で、そのバイクは法定相続人の共有財産になります。

そのため、遺言書や遺産分割協議書の内容に沿って相続するのが一般的です。

本記事では、相続したバイクを排気量別に、名義変更の手続きの流れや必要書類について、詳しく解説していきます。

1. バイクは小型二輪・軽二輪・原付に分かれる

バイクと一言で言っても、排気量によって大きく3種類に分けられています。

登録や名義変更の手続きにおける、排気量別の名称は以下のとおりです。

  • 小型二輪(251㏄以上)
  • 軽二輪(126㏄〜250㏄)
  • 原付(125cc以下)

相続したバイクの種類によって、名義変更の手続き先や必要書類にも違いが見られます。

二輪車の運転免許証の区分とは異なるため注意が必要です。

2. 相続した小型二輪・軽二輪の名義変更の流れ

小型二輪・軽二輪

相続した小型二輪(251㏄以上)・軽二輪(126㏄〜250㏄)の名義変更の流れは、以下の5つのステップに分かれています。

  • ステップ1: 所有名義人の確認
  • ステップ2: 相続する人を決める
  • ステップ3: 遺産分割協議書の作成
  • ステップ4: 必要書類の準備
  • ステップ5: 名義変更の手続き

順番に詳しく見ていきましょう。

原付の名義変更の流れはこちら

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ステップ1: 所有名義人の確認

まず、小型二輪の場合は車検証を、軽二輪の場合は軽自動車届出済証を見て、所有者の名義を確認しましょう。

所有者がバイク販売店や信販会社が所有者となっている場合、被相続人がローンを組んでバイクを購入していた可能性があります。

ローンに残債がある場合、完済しなければ名義変更することができず、バイクを引き続き使用することも、処分することもできません。

被相続人のバイクを相続する人は、なるべく早めにローンを完済しておきましょう。

ステップ2: 相続する人を決める

冒頭でご説明したように、バイクの所有者が亡くなると、その時点でバイクは法定相続人の共有財産となります。

そのため、相続する人を決める必要があります。

遺言書があり、バイクを承継する人が指定されている場合は、基本的にその人がバイクを承継します。

遺言書がない場合や、遺言書があってもバイクを承継する人が指定されていない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、バイクを相続する人を決めます。

バイクの所有者の名義や状態、査定額などを参考にしながら、相続する人を決めましょう。

遺言書がある場合は、ステップ4に進みましょう。

ステップ3: 遺産分割協議書の作成

遺産分割協議により、バイクを相続する人が決まれば、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印が必要です。

また、バイクを特定するため、車検証を確認し、以下の番号を記載します。

  • 自動車登録番号(または車両番号)
  • 車体番号

番号を間違えてしまうと、遺産分割協議書が無効になってしまう可能性があるため、手元に車検証等を用意した上で書き写しましょう。

ステップ4: 必要書類の準備

相続における小型二輪・軽二輪の名義変更には、以下の書類が必要です。

  1. 自動車検査証(小型二輪の場合)
  2. 軽自動車届出済証(軽二輪の場合)
  3. 新所有者となる相続人の住民票(または印鑑証明書)
  4. 申請書
  5. 所有者の死亡が確認できる戸籍謄本(または除籍謄本)
  6. 自動車税(環境性能割・種別割)申告書
  7. 車両番号標(ナンバープレート)
  8. 委任状 

一つずつ順番に解説していきます。

①自動車検査証(小型二輪の場合)

小型二輪の場合、名義変更の手続きには自動車検査証(車検証)が必要になります。

車検証は保安基準に適合していることを証明するA4サイズ(297mm×210mm)の書類で、公道を走行する際には、必ず原本を携行しなければいけません。

電子車検証の場合、ICタグ付のA6サイズ(177.8mm×105mm)相当の厚紙です。

ほとんどの場合、シート下もしくはボックス内に備え付けられています。

紛失している場合は、被相続人の住所地を管轄する運輸支局等で再交付を受けることができます。

[国交省電子車検証特設サイト]電子車検証について

[関東運輸局HP]自動車検査証再交付

②軽自動車届出済証(軽二輪の場合)

軽二輪または軽特殊車の場合、車検証の代わりに軽自動車届出済証の提出が必要です。

軽自動車届出済証とは、車検証の代わりになる書類で走行中に携行することが義務付けられています。

軽二輪・軽特殊車の所有者は、運輸支局等に届出を行い、軽自動車届出済証の交付を受けなければいけません。

どこにあるかわからない場合は、シート下もしくはボックス内を探しましょう。

見つからない場合は、被相続人の住所地を管轄する運輸支局等で再交付を受ける必要があります。

[PDF]軽自動車届出済証(見本)

[自動車検査登録ポータルサイト]軽二輪の軽自動車届出済証の再交付

③新所有者となる相続人の住民票(または印鑑証明書)

バイクの新所有者の住所を確認するため、発行日が3ヶ月以内の住民票または印鑑証明書が必要になります。

市区町村役所やコンビニなどで取得しておきましょう。

④申請書

バイクの名義変更の申請書は、以下の3つの取得方法があります。

  • 運輸支局の窓口で取得
  • 国交省HPからダウンロード
  • Web上で作成・印刷

国交省HPからダウンロードする場合は、下記のリンクから申請書を取得できます。

小型二輪は「第1号様式」を、軽二輪は「軽二輪1号様式」を使用します。

記入例を参考に、空欄を埋めましょう。

[国交省HP]OCR申請書各種様式について

[PDF]小型二輪 自動車検査証記入申請書 記入例

[PDF]軽二輪 軽自動車届出済記入申請書 記入例

Web上で作成・印刷する場合は、下記リンクより申請内容をパソコン等で直接入力できます。

手書きする必要がなく、再編集が可能なため、こちらの方法がおすすめです。

[自動車検査登録ポータルサイト]売買等により 譲渡、譲受する手続き

⑤所有者の死亡が確認できる戸籍謄本(または除籍謄本)

バイクの所有者が亡くなっていることを確認するために、戸籍謄本または除籍謄本のいずれかの書類が必要になります。

所有者の死後、同じ戸籍に在籍する者がいる場合は戸籍謄本、在籍する者が誰もいなくなった場合は除籍謄本を取得します。

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⑥自動車税(環境性能割・種別割)申告書

運輸局・運輸支局等に隣接する、都道府県税事務所の窓口に自動車税申告書を提出する必要があります。

申告書は当日、都道府県税事務所の窓口で取得することができます。

車検を受けるためには自動車税を必ず納めなければいけません。

申告書を提出し、納税者の登録情報を変更することで、新所有者宛に納税通知書が送付されるようになります。

忘れないように、同じ日に手続きを済ませておきましょう。

⑦車両番号標(ナンバープレート)

バイクの名義変更によって、新所有者の住所地を管轄する運輸支局等が変更になる場合、車両もしくは取り外したナンバープレートが必要になります。

ナンバープレートには、管轄する運輸支局等の名称が表示されています。

新住所地を管轄する運輸支局等がこれまでと変わらない場合は、ナンバープレートを返納する必要はありません。

[近畿運輸局HP]近畿の運輸支局・自動車検査登録事務所の管轄地域

⑧委任状

バイク販売業者や行政書士などに、名義変更の手続きを依頼する場合、委任状が必要になります。

ほとんどの場合、委任状は依頼先が用意してくれますが、以下のリンクからダウンロードすることもできます。

[PDF]委任状

ステップ5: 運輸支局等で手続き

小型二輪・軽二輪の名義変更の手続きには、以下の2つの方法があります。

  • 運輸支局等の窓口で手続き
  • ワンストップサービスで手続き

運輸支局等で手続きする場合、新所有者の住所地を管轄する運輸支局等に出向き、必要書類を提出します。

自宅と管轄する運輸局等の距離が近い方や、対面で手続きの案内を受けたい方におすすめです。

[自動車検査登録ポータルサイト]全国運輸支局等のご案内

ワンストップサービスで手続きする場合、Web上で入力と必要書類のアップロードし、申請を行います。

自宅にいながら手続きが可能で、進捗の確認もできるためおすすめです。

ただし、電子証明書(マイナンバーカード等)とICカードリーダーを事前に準備しておく必要があります。

[自動車保有関係手続のOSS]事前のご準備

3. 相続した原付の名義変更の流れ

原付

相続した原動機付自転車(原付、125cc以下)の名義変更の流れは、以下の5つのステップに分かれています。

  • ステップ1: 所有者(納税者)の確認
  • ステップ2: 相続する人を決める
  • ステップ3: 遺産分割協議書の作成
  • ステップ4: 市区町村役所で廃車の手続き
  • ステップ5: 市区町村役所で名義変更の手続き

順番に詳しく見ていきましょう。

ステップ1: 所有者(納税者)の確認

まず、標識交付証明書を見て、所有者(納税者)の名義を確認しましょう。

標識交付証明書とは、原付(125cc以下)や小型特殊自動車の所有者に対して、住所地の市区町村から交付される書類で、車検証のような役割を担っています。

標識とはナンバープレートのことです。

所有者または納税者の名義人が、被相続人になっていれば相続財産に含まれます。

標識交付証明書の記載項目は、市区町村によって異なります。

ステップ2: 相続する人を決める

原付を相続する人は、以下のいずれかで決まります。

  • 遺言書あり → 遺言書で指定された人が承継
  • 遺言書なし → 遺産分割協議により相続する人を決める

遺言書がある場合でも、原付を相続(遺贈)する人の指定がなければ、遺産分割協議を行うことになります。

遺産分割協議は相続人全員で、各種相続財産を誰が相続するかを話し合います。

原付のメーカーや状態、ヘルメットの有無などを考慮した上で相続する人を決めましょう。

遺言書がある場合は、ステップ4に進みましょう。

ステップ3: 遺産分割協議書の作成

遺産分割協議によって、原付の新所有者が決まれば、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印が必要です。

また、原付を特定するため標識交付証明書を確認し、以下の番号を記載します。

  • 標識番号
  • 車体番号

番号を書き間違えると、遺産分割協議書が無効になってしまう可能性があるため、慎重に転記しましょう。

ステップ4: 市区町村役所で廃車の手続き

原付を名義変更するためには、先に廃車手続き(ナンバープレート返納)を行う必要があります。

相続した原付のナンバープレートを確認すると、原付が登録されている市区町村がわかります。

登録先の市区町村役所に以下の書類を持参し、廃車手続きを行いましょう。

  • 本人確認書類: マイナンバーカード、運転免許証など
  • 認印: 市区町村役所によっては必要
  • ナンバープレート: ドライバーで取り外し可
  • 標識交付証明書: 紛失している場合は再発行可
  • 廃車申告書: 市区町村役所の窓口で取得

標識交付証明書が紛失している場合は、登録先の市区町村役所で再発行の手続きが可能です。

再発行の窓口は市区町村役所によって異なりますが、軽自動車税を担当している税務課、収納課、納税課になります。

ステップ5: 市区町村役所で名義変更の手続き

廃車の手続きが完了すれば、新所有者となる相続人に名義変更の手続きを行います。

手続き先は、新所有者の住所地の市区町村役所です。

新所有者の住所地が廃車の手続きを行った市区町村と同じ場合は、廃車と名義変更の手続きを同時に行うことができます。

市区町村が異なる場合は、以下の書類を持参し、名義変更の手続きを行いましょう。

  • 廃車証明書: 廃車後に市区町村役所が交付
  • 遺産分割協議書(または遺言書)
  • 本人確認書類: マイナンバーカード、運転免許証など
  • 認印: 市区町村役所によっては必要
  • 軽自動車税申告書 兼 標識交付申請書: 市区町村役所の窓口で取得

提出書類に不備がなければ、新しいナンバープレートと登録証(標識交付証明書)が交付され、名義変更が完了します。

4. 相続したバイクを名義変更した後の流れ

相続したバイクの名義変更が完了した後は、そのバイクをどうするかによって、手続きが変わってきます。

乗り続ける場合、売却する場合、廃車にする場合に分けて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1. 相続したバイクに乗り続ける場合

二輪車免許をお持ちの場合、被相続人が所有していたバイクを日常生活や趣味で「引き続き使用したい」と思われる方もおられるでしょう。

相続したバイクに乗り続ける場合、以下の2つの手続きが必要です。

  • 自賠責保険の名義変更
  • 任意保険(自動車保険)の名義変更

順番に詳しく解説していきます。

自賠責保険の名義変更

バイクを相続した場合、自賠責保険の契約名義を新所有者に変更する必要があります。

自賠責保険は、自動車やバイクの全所有者に加入が義務付けれていて、保険料や保険金が一律に定められています。

契約先の保険会社に連絡し、契約者の死亡と名義変更の希望を伝え、必要書類を確認しましょう。

保険会社によって異なりますが、自賠責保険の名義変更で必要となる主な書類は、以下のとおりです。

  • 登録事項等証明書: 名義変更の完了時に発行される
  • 自賠責保険異動承認請求書(または権利譲渡通知書): 窓口で取得
  • 自賠責保険証明書: 自賠責保険への加入時に発行される
  • 戸籍謄本(または除籍謄本): 契約者の死亡を確認

自賠責保険の名義変更が完了していないと、保険金の受け取りが遅延したり、適用除外となる可能性があるため早めに手続きしておきましょう。

任意保険(自動車保険)の名義変更

被相続人が任意保険を契約していた場合は、こちらの名義変更も合わせて行う必要があります。

任意保険は、その名のとおり、自動車やバイクの所有者が任意に加入するもので、保険会社によって保険商品や保険料、保険金は異なります。

事前に、契約内容を確認し、名義変更するか解約するかを決める必要があります。

任意保険の契約名義が被相続人のままになっている場合、保険金が受け取れない可能性があるため、忘れないように自賠責保険と同時に名義変更の手続きをしておきましょう。

4-2. 相続したバイクを売却する場合

相続したものの、バイクに興味がない場合や、バイクをすでに所有している場合は「売却して現金化したい」と思われる方もおられると思います。

バイクを売却する手順は、以下のとおりです。

  1. 相続したバイクを名義変更する
  2. バイク販売業者にバイクの査定を依頼する
  3. 査定額に納得すれば、必要書類を準備し売買契約をする
  4. 自動車の引き渡し・代金受け取り

相続したバイクを売却する場合、排気量に応じた種類によって必要書類が異なります。

また、バイク販売業者によっても違いが見られるため、事前に確認しておきましょう。

バイクの排気量にかかわらず共通して必要となる書類は、以下のとおりです。

共通
  •  本人確認書類: マイナンバーカード、運転免許証など
  •  自賠責保険証明書: 自賠責保険への加入時に発行される
  •  印鑑: バイク販売業者によっては必要

ここからは排気量別に必要となる書類を順番に見ていきましょう。

小型二輪(125cc以上)

小型二輪の売却時に必要となる書類は以下のとおりです。

  • 自動車検査証(車検証)
  • 自動車検査証返納証明書: 廃車手続きにより車検証を返納している場合
  • 自動車納税証明書: 販売業者によっては必要

軽二輪(126㏄〜250㏄)

軽二輪の売却時に必要となる書類は以下のとおりです。

  • 軽自動車届出済証(届出済証)
  • 軽自動車届出済証返納証明書: 廃車手続きにより届出済証を返納している場合

原付(125cc以下)

原付の売却時に必要となる書類は以下のとおりです。

  • 標識交付証明書: ナンバープレート発行時に交付される
  • 廃車証明書: 廃車手続きにより標識交付証明書を返納している場合

売却先がバイク販売業者の場合、名義変更や廃車の手続きも代行してくれるため、時間と手間を省くことができます。

4-3. 相続したバイクを廃車にする場合

相続したバイクを廃車にする流れや必要書類は、こちらの記事をご覧ください。

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廃車にする場合も、バイクの名義変更が完了している必要があります。

5. まとめ

ノア行政書士事務所

相続したバイクを乗り続ける場合であっても、処分する場合であっても、先に新所有者となる相続人への名義変更が必要です。

名義変更をしないまま放置してしまうと、納税通知書が届かず、自動車税を滞納してしまうかもしれません。

自動車税を完納していないと車検を受けることができず、そのままの状態でバイクを走行させると罰則の対象となります。

また、自賠責保険や任意保険を被相続人名義のままにしておくと、事故発生時に保険金を受け取れなくなる可能性があります。

バイクを相続した場合、なるべく早めに名義変更を行いましょう。

自動車やバイクの相続手続きに不安がある方や、平日に時間が取れない方は、相続手続きを専門にする「ノア行政書士事務所」までお気軽にご相談くださいませ。

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この記事を書いた人
野瀬 航平
野瀬 航平
ノア行政書士事務所代表
1995年3月生。中学校教員>娯楽業>賃貸仲介管理>不動産コンサル>2024年行政書士事務所開業 ■保有資格: 行政書士/宅地建物取引士/FP2級/賃貸不動産経営管理士 ■相続放棄された空き家を再生(利回り30%で運用中) ■第35回SASUKE出場

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