相続した不動産を売却したい!手順や注意点を徹底解説!
相続した不動産の売却を検討している方の中には、
「どうやって進めていけばいいの?」
という疑問を抱えている方もいるでしょう。
不動産の相続というのは、一生に一度あるかどうかの大きなイベントであり、相続のタイミングは突然やってくることもあるため、準備をしておかないとスムーズに手続きを進められなくなります。
そこでこの記事では、相続した不動産を売却する手順や注意点について、詳しく解説していきます。
1. 相続した不動産を売却するまでの流れ
では早速、相続した不動産を売却するまでの流れについて詳しく見ていきましょう。
ステップ1:遺産分割協議
不動産の相続が発生したら、まずは遺言書を確認します。
遺言書に不動産の相続について記載されていた場合、その内容に沿って進めていくことになります。
とはいえ、被相続人が遺言書を残していないケースもあり、この場合は相続人同士で話し合いを行い、誰がどの財産を相続するかを決めなければなりません。
この話し合いのことを遺産分割協議と呼びます。
遺産分割協議は、相続における最も重要な部分でもありますので、トラブルを防ぐためにも相続人同士でしっかりと話し合いましょう。
ステップ2:不動産の名義変更
遺産分割協議によって、不動産の相続人が決まったら、続いては相続登記を行います。
相続登記とは、簡単にいうと不動産の名義変更のことです。
これまでは相続登記が義務化されていなかったのですが、2024年4月1日から義務化されました。
不動産の相続が発生した日から3年以内に相続登記を行わないと、罰則の対象になりますので注意しましょう。
相続登記は、管轄の法務局で行う必要があるのですが、多くの書類が必要になりますし、法務局は平日しか開いていないため自分で行うのが難しくなるケースもあります。
相続登記をスムーズに進めたい場合は、専門家に相談するのがおすすめです。
ステップ3:不動産会社に依頼
相続登記が終わったら、不動産の売却に向けて準備を進めていきます。
基本的には、仲介をしてくれる不動産会社を探し、媒介契約を結んで進めていくことになります。
不動産会社の媒介契約には、以下3つの種類がありますので、ぜひ覚えておいてください。
- 専属専任媒介契約:不動産会社1社のみに仲介を依頼する契約。不動産会社が見つけた売却先としか取引ができない。不動産会社は限られた期間内に買い手を見つける必要があるため、高確率で買い手が見つかる。
- 専任媒介契約:不動産会社1社のみに仲介を依頼する契約。自力で売却先を見つけることもできるため、売却先にこだわりがある場合におすすめ。
- 一般媒介契約:複数の不動産会社に仲介を依頼する契約。自力で売却先を探すことも可能。その他の契約と違って、期限がないため、場合によっては売却先を見つけるのに時間がかかることもある。
ステップ4:物件調査
不動産会社と媒介契約を結ぶと、物件調査が行われます。
不動産の価格を決めるために、主に次の内容が調査の対象になります。
- 物件種別
- 使用状況
- 面積(土地・建物)
- 築年数(建物)
その他にも、物件の特徴に合わせて、様々な要因を細かくチェックします。
ステップ5:売買契約の締結
買い手が見つかったら、売買契約を締結しましょう。
不動産の売買には、非常に大きな金額が動くため、慎重に契約書の作成や締結を行っていかなければなりません。
一般的に、不動産の売買契約は以下のような流れで進んでいきます。
- 不動産の説明
- 売買価格や条件の交渉(相談可能な場合)
- 契約書の確認・署名押印
- 手付金の受け渡し
ステップ6:決済
続いては、残金決済です。
残金決済とは、手付金以外の残金を決済すること、もしくはその決済日を指します。
ステップ5で手付金の受け渡しが行われなかった場合は、一括で売買代金の決済が行われます。
不動産売買は当事者だけでなく専門家がかかわり、費用の内訳も多岐にわたるため、次の関係者が集まります。契約内容や必要書類など、細かくチェックしながら進めていきます。
- 売主
- 買主
- 不動産会社のスタッフ
- 銀行の融資担当
- 司法書士
通常は、融資を行う銀行の応接室で行われることになります。
ステップ7:引き渡し
引き渡し日になったら、不動産を買い主に引き渡します。
トラブルを避けるため、当日までにできる限りのメンテナンスをしておきましょう。
また、売却する物件に住んでいる場合は、決済日当日までに片付けやライフラインの解約、引っ越しを済ませておく必要があります。
決済および引き渡しについては、法務局及び銀行などの兼ね合いにより、平日の午前中に行われるケースが多いです。
2. 相続した不動産を売却するメリット
では次に、相続した不動産を売却するメリットについて詳しく見ていきましょう。
2-1. トラブルを防ぎやすくなる
不動産は現金と違って等分できないため、相続人が多い場合はトラブルに発展してしまうケースも多いです。
しかし、相続した不動産を早い段階で売却することによって、複数の相続人で平等に遺産を分配できるようになるため、トラブルを防ぎやすくなります。
2-2. 維持・管理の手間を省ける
不動産を相続した場合、維持や管理の手間が発生します。
特に、相続した不動産とは別の物件に住んでいる場合、定期的に足を運んで掃除をしたり、メンテナンスをしたりしなければなりません。
また、不動産は時間の経過とともに劣化していきますので、外壁塗装や設備交換なども必要です。
しかし、売却をした場合は維持や管理の手間、それからコストがかからなくなるため、相続人の負担を軽減しやすくなります。
さらに、令和5年12月13日に空き家対策推進特措法(あきやたいさくすいしんとくそほう)が改正されたこともあり、空き家を放置するデメリットが非常に大きくなっています。
長期間の放置により「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定されてしまった場合、指導・勧告の対象となりますので、使い道がない場合は売却を検討するのがおすすめです。
[国土交通省HP]空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報
3. 不動産を相続したときにかかる費用
相続した不動産の売却を検討している方の中には、売却のことで頭がいっぱいになり、相続時にかかる費用を把握できていない方もいます。
不動産を相続してから売却するまでには、多くの費用が必要になりますので、事前に確認しておきましょう。
まずは、不動産を相続したときに発生する費用について、詳しく解説していきます。
3-1. 登録免許税
不動産を相続した際は、相続登記(名義変更)を行わなければなりません。
相続登記をするためには、登録免許税を支払う必要があります。
登録免許税は、以下の計算式で算出できます。
こう聞いて、
「固定資産評価額がわからない・・・」
と悩んでしまう方もいると思いますが、市区町村で取得できる固定資産評価証明書で確認できますので、事前にチェックしておいてください。
3-2. 相続税
相続税は、相続した遺産の総額から基礎控除を引いた金額に対して課税されます。
基礎控除は、以下の計算式で算出可能です。
法定相続人が多ければ多いほど基礎控除も増えますが、計算が若干ややこしいため、正確な数字を出すためにも専門家に相談するのがおすすめです。
3-3. 書類取得費用
不動産を相続するためには、以下の書類が必要になります。
- 戸籍謄本(1通450円)
- 登記事項証明書(1通600円)
これらを取得する際は、少額の費用が発生しますので注意してください。
また、上記費用の他に郵送費用が発生するケースもありますので、事前に確認しておきましょう。
3-4. 専門家への報酬
行政書士や弁護士、司法書士や税理士などの士業に何らかの業務を依頼する場合は、上記で紹介した費用に加えて専門家への報酬が発生します。
報酬については、依頼する業務や依頼先によっても変動しますので、相場をチェックしつつ、見積もりを取った上で慎重に検討していきましょう。
4. 相続した不動産を売却するときにかかる費用
では次に、相続した不動産を売却するときにかかる費用を紹介していきます。
4-1. 仲介手数料
相続の有無にかかわらず、不動産を売却する際は不動産会社と契約を結ぶケースが多いです。
その際は、仲介手数料が発生します。
仲介手数料は、売買契約を締結し、決済が完了した時点で発生する費用です。通常は以下の計算式で算出されます。
契約内容によっては、決済が完了していなくても費用の支払いが発生する場合があります。
- 手付解除:買主は手付金を放棄し、契約解除が可能。売主から契約解除する場合は、手付金の倍額(手付金の返還と、手付金相当額の提供)を支払い契約解除が可能。
- 違約解除:買主または売主の契約違反による契約解除。売買金額の20%程度の違約金が発生することが多い。
契約内容によっては、その他にも費用の支払いが発生するケースがありますので、事前に確認しておかなければなりません。
4-2. 譲渡所得課税
譲渡所得課税とは、不動産を売却して得た利益に対してかかる税金です。
譲渡所得には、以下の3つの税金が課税される可能性があります。
- 所得税
- 復興特別所得税
- 住民税
譲渡所得の計算式は比較的複雑ですので、正確に算出するためにも専門家に相談するのがおすすめです。
4-3. 印紙税
不動産を売却する際は、売買契約書を結ぶのですが、その契約書には「収入印紙」を貼り付ける必要があります。
これは、経済取引に伴って作成する契約書や領収書等に課税される税金のことで、一般的には「印紙税」と呼ばれています。
印紙税は、電子契約の場合は不要となり、契約金額によっても変動します。
印紙税の有無や金額は、事前に不動産会社に確認しておきましょう。
4-4. 諸費用
相続した不動産の状況によっては、以下のような費用がかかるケースもあります。
- ハウスクリーニング費用
- 測量費用
- 解体費用
- 税理士費用
これらの費用は、意外と盲点になりやすいため、想定外の支出を減らすためにもしっかりとチェックしておいてください。
5. 相続した不動産を売却するときの注意点
では次に、相続した不動産を売却するときの注意点について詳しく解説していきます。
5-1. 業者選びを慎重に行う
相続した不動産をできるだけ早く売却したい場合は、実績豊富な不動産会社を選ぶことが大切です。
信頼できる不動産会社を見つけることにより、スムーズかつ安心して売却が行えるようになります。
また、トラブルリスクの軽減にも繋げられますので、安心して相談できる会社を慎重に探していきましょう。
5-2. 共有名義の場合は全員の同意が必要
共有名義の不動産を売却するためには、名義人全員の同意が必要です。
その中でも、以下2つのポイントが重要になります。
- 売ることへの同意
- 価格への同意
売ることに対して全員から同意を得られたとしても、価格の同意が得られないとスムーズに売却ができません。
このようなトラブルを防ぐためには、名義人全員で「最低売却価格」を決めておくのがおすすめです。
そうすることにより、価格によるトラブルも防げますし、買い手から値下げ交渉が入ったとしてもスムーズに対処できるようになります。
5-3. 3年以内の売却を目指す
相続した不動産を売却する際は、以下2つの特例を使える可能性があります。
- 取得費加算の特例:相続開始日翌日から、相続税申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却
- 相続空き家の3,000万円特別控除:相続開始日以後3年を経過する日の属する12月31日までに売却
上記のように、それぞれの特例に期限があるため、事前に確認しておかなければなりません。
不動産の名義変更から引き渡しまでには半年以上の時間がかかることが多いため、3年以内の売却を目指し、前もって準備をしておきましょう。
5-4. 単独登記型は贈与にならないように注意する
不動産を売却して得た現金を相続人で分配する「換価分割」には、次の2種類があります。
- 共同登記型
- 単独登記型
共同登記型は、不動産を共有名義で所有し、そのまま売却する方法のことです。
一方、単独登記型は、特定の相続人が所有・売却した後に、お金を他の相続人に分配する方法を指します。
何の対策もせずに単独登記型で売却した場合、お金を分配した際に「贈与」とみなされてしまう可能性が高くなります。
このような事態を避けるためには、遺産分割協議書に「換価分割目的で遺産を取得する」という旨を記載しておかなければなりません。
6. 相続した不動産の売却でお悩みなら「ノア行政書士事務所」にご相談ください!
相続した不動産を売却する際は、多くの手続きが必要です。
ただ、各手続きに専門知識が必要であり、用意する書類も多岐にわたるため、自分ではどうすることもできないと悩んでいる方もたくさんいるでしょう。
そのような方は、相続手続きに強みを持つ「ノア行政書士事務所」までお気軽にご相談ください。
当事務所は、弁護士や税理士、司法書士や土地家屋調査士などと連携しているため、相続登記をはじめとする様々な手続きをお任せいただけます。
相続手続きだけでなく、不動産の無料査定やご売却のご相談にも対応しております。
7. まとめ
相続した不動産を売却することにより、相続人全員に対して平等に遺産を分配しやすくなり、維持管理の手間がかからなくなります。
ただ、不動産の売却には大きな金額が動きますし、権利関係の問題も発生してくるため、信頼できる不動産業者や、相続手続きに強い専門家を見つけることが大切です。
しかし、全国にはたくさんの不動産会社や、相続の専門家がいるため、どこに依頼すればいいか悩んでいる方もたくさんいるでしょう。
そのような方は、相続手続きだけでなく不動産の取り扱いに精通した「ノア行政書士事務所」までお気軽にご相談ください。
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