相続放棄ができなくなる!?前後でしてはいけないNG行為!
相続放棄とは、相続が開始したことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所に申述書を提出することで、相続の対象である資産や負債を一切を引き継がず放棄することです。
プラスの財産をマイナス財産が上回っている場合に、有効な手続きです。
しかし、相続放棄の前後でしてしまうと、申述書が受理されなかったり、一度は受理されたものが無効になってしまうNG行為があります。
本記事では、相続放棄を検討しておられる方や、相続放棄の手続きを進めておられる方に向け、NG行為や注意点を解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
1. 相続放棄の前後でしてはいけない処分行為
1-1. 預貯金の払戻し(名義変更)
ご自身の生活費や旅費交通費などで、ある程度のお金が必要な方もおられるでしょう。
しかし、亡くなった方の預貯金口座の名義変更や解約、引き出しを行うと、処分行為に該当し、相続放棄ができなくなる可能性があります。
相続放棄の前後では、被相続人の預貯金には手をつけない方が良いでしょう。
万が一、被相続人名義の口座から、すでにお金を引き出してしまっている場合は、出金した分だけ、元の口座に入金しなければいけません。
1-2. 不動産の売却や解体
実家などが空き家となっていて、維持管理が難しい場合、相続放棄を検討される方もおられるでしょう。
しかし、相続放棄の前後で、不動産の売却や建物の解体をしてしまうと、処分行為とみなされ相続放棄ができなくなる可能性があります。
相続放棄をする場合は、たとえ活用する予定がなくても、不動産の売却や解体をしてはいけません。
一方で、老朽化した建物を放置し、通行人や隣人に危害を加えてしまった場合、管理責任を問われる可能性があります。
そのため、現状維持を目的とした、以下のような保存行為は率先して行いましょう。
- 隣地や道路に越境している枝葉のの切除
- 倒壊しそうなブロック塀の補修
- 落下しそうな瓦屋根の補修
1-3. 賃貸マンション・アパートの解約
賃借権は相続の対象のため、契約者の死亡によって自動的に消滅することはありません。
そのため、被相続人が賃貸マンションやアパートの部屋を借りていた場合、管理会社やオーナーから解約の手続きの案内が来るかもしれません。
一般的な賃貸借契約の解約は、借主側から管理会社指定の書面やハガキなどで通知します。
しかし、こちらから賃貸借契約の解約通知をしてしまうと、相続財産である賃借権を処分したとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。
賃借権の処分行為とならないためには、以下の方法が考えられます。
- 管理会社やオーナー側からの解約
- 契約期間満了による解約
- 賃料未払いによる解約(2ヶ月もしくは3ヶ月滞納による多い)
管理会社やオーナーに相談しながら、解約手続きを進めましょう。
1-4. 家財の処分(遺品整理)
遺品の中には、高く売れそうなものや、自分のものとして使いたいものがあるかもしれません。
しかし、家具家電や絵画、骨董品、宝石など財産価値のあるものを勝手に処分してしまうと相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。
遺品整理を行う際は、ゴミ捨てや整理整頓にとどめておきましょう。
なお、被相続人が部屋を借りていて、解約時に家財を全て移動させなければいけない場合は、自宅以外の場所に移動するなど、自分の家財と分けて管理しておく必要があります。
1-5. 車やバイクの処分
被相続人が車やバイクを所有していたという場合も珍しくありません。
車やバイクについても、相続財産に当たるため、勝手に処分をしてしまうと、相続放棄できなくなる可能性があります。
被相続人名義の車やバイクは、売却したり、自家用車として使用しないように気をつけましょう。
1-6. 借金や税金の支払い
相続財産の中には、支払い期日のある借金や税金が含まれていることもあるかと思います。
しかし、相続財産から借金や税金を支払ってしまうと、処分行為に該当し、相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。
相続放棄をする場合は、督促状が来ていても、相続財産から弁済してはいけません。
どうしても借金を支払う必要がある場合は、自分の資産から支払いましょう。
1-7. 入院費の支払い
被相続人が入院していた場合、後日、病院から請求書が送られてくることがあります。
しかし、相続財産から入院費を支払ってしまうと、処分行為とみなされてしまい、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
借金と同様に、どうしても入院費を支払う必要がある場合は、自分の資産から支払うようにしましょう。
なお、以下の葬祭費等は、日本の慣習として認められているため、通常考えられる範囲内であれば、相続放棄の前後に支払っても問題ありません。
- お通夜
- お葬式
- 墓石の購入
- 供養
- 納骨
1-8. 携帯電話の解約
被相続人が携帯電話をお持ちだった場合、基本料金がかかってしまうため、解約を検討されている方もおられるかと思います。
しかし、こちらから携帯電話の解約をしてしまうと、処分行為とみなされてしまい相続放棄ができなくなってしまうケースがあります。
また、携帯電話にはネットバンクやデジタル資産などのパスワードが含まれている可能性も考えられます。
携帯電話は解約せずに、なるべく被相続人が最後に使用した状態で保管しておきましょう。
2. 処分行為だけではない!隠匿行為もNG!
ここまでご紹介してきた処分行為だけでなく、相続財産を隠す、持ち帰るといった隠匿行為(いんとくこうい)も相続放棄の前後ではしてはいけません。
隠匿行為をしてしまうと、単純承認したとみなされ、相続放棄をすることができなくなってしまいます。
現金や車、家具家電、絵画、骨董品、宝石など、明らかに財産価値があるものは、出来る限りそのままの状態にしておくのがいいでしょう。
3. まとめ
相続放棄には複雑な部分もあり、専門の知識も必要になってきます。
そのため、中には「自分ではどうすることもできない」とお悩みの方もおられるかもしれません。
そのような方は、相続専門の「ノア行政書士事務所」までお気軽にご相談ください。
当事務所は、弁護士や税理士、司法書士や土地家屋調査士など、あらゆる専門家と連携しているため、相続手続きを丸投げしていただくことも可能です。
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少しでも気になる方は、お気軽にご相談くださいませ。
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